"人生のサントラ"
春のエンディングが終わって行く余韻を、寂しがるいとまもなく
もう夏のイントロは始まってて
ボーカルが歌い出しのために吸った息の音が聞こえる
そんなうだる5月最後の日です。
ちょっと嬉しい、自慢したいことがあります!
椎名林檎さま、12年ぶりに行われたツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」のソフト化を記念し行われたナタリーさまのロングインタビュー。
そこで、恐れ多くも名前を出して頂きました。
「椎名林檎」
この名前に多くの「椎名林檎」を知らないは
"好きな人は好きな、クセの強いアーティスト"
といったイメージを抱かれると思います。
しかし近年、林檎さまのワークはプロデュース業や監督業といったいわゆる「裏方仕事」(インタビュー中では"雇われ仕事"という表現もありましたね)が多く
「林檎さんの曲を違う人が歌う」
「林檎さんが作った音楽ではないものを目にする」
ということが増えてきたことを、皆様はお気づきでしょうか。
昭和元禄 落語心中の主題歌となった「薄ら氷心中」「今際の死神」、
話題となったTBS系列ドラマ「カルテット」の主題歌「おとなの掟」
といった楽曲提供では、もちろん林檎さまが歌っているわけではないのに
そのオケのサウンド、歌詞とメロディーのハマり方、コード進行から
「林檎の曲だと思ったのに林檎の声じゃない!」
という驚きをされた方もいるのではないでしょうか。
インタビュー中では「雇われ仕事」と書かれていたこの職業作家としてのワークですが
私はまさにこの林檎さまが体現されている「仕事」に強く強く憧れます。
林檎さまは「言われたとおりに書いた」と仰っていますが
言われたとおりに書きつつ自分のサウンドを入れる、というのは大変難しいことです。
オーダー通りに書いたら自分がなくなってしまう、これが多くの職業作家を目指す人間が仕事をし続ける限り悩むことです。
それを林檎さまは「お母さん」というなんとも面白い表現で語っていらっしゃいます。
更に驚いたのは、林檎さまが自分の名義で自分が歌い表現してきた楽曲に対しても
私たちオーディエンスをクライアントに見立て、
「人生のサントラ」として発表してきたのだということ。
サントラには、多くの曲があります。
色んな編成、テンポ、エレクトロもあればオーケストラサウンドもあり、劇中歌もあり・・・
そんな中の一曲に入れてくれたら、という
奥ゆかしくて主張しすぎなくて
でも作家としてしっかり自分のエッセンスを入れている
林檎さんの楽曲の中に確かに生きるイノセンスな想いを
感じました。
私が生きて来た今までの25年の中でも
やっぱり、林檎さんの歌と曲が主題歌になっているクールが何回かありました。
色々胸が熱くなるインタビューでした。
こんなにも職業作家として生きてるアーティストが他に日本にいるだろうか?
この相反する立場の真ん中で
自分の意志を体現し続けている人が。
わたしもがんばろう。。。。