八角人オーケストラの夢
奇妙な夢を見た。
地球存亡の危機かもしれないのでここに記しておく。
地球が八角人という宇宙人に占拠された未来の世界。
医者やエンジニア、特殊技能を持った人たちはことごとく八角人に殺されてしまい
大衆の心を動かす力を持っているということで音楽家も次々と殺されて行く中
私は八角人オーケストラの座付き作曲家となることでなんとか処刑を免れた。
最初の仕事は式典のための作曲だった。
もちろんそのサウンドの楽曲を作ることが求められる。
初日のリハーサル。私は緊張しながらリハに向かった。
そこで八角人オーケストラの指揮者として登場したのは、Jpopやアニソンで活躍なさっている作曲家だった。
歌モノの作家なのに、八角人オーケストラの指揮者となることで彼もまた、難を逃れたのであろう。
リハーサルが始まった。
曲が演奏されていく。
不穏な空気になったのはすぐだった。
謎の不協和音が鳴り響く。
50数名の八角人たちがざわめき、演奏を中断し、音が違う、音が違うと騒いでいる。
指揮者が必死になだめつつ、私も焦ってスコアを見る。
金管にはF#、ストリングスにはFの和音が同時に書かれており
口頭で直すのでは間に合わないレベルで破綻している。
八角人たちの視線が厳しくなる。
オーケストレーションが破綻している作曲家など必要ない。それすなわち、その場においては処刑を意味する。
リハーサルは別の曲をやることをなり、私はそそくさと収容所へ帰宅した。
その夜、私の部屋に全身黒タイツを着た友人が忍び込んで来た。
彼は八角人の特殊な網膜を研究し、着用すると八角人にだけ見えなくなる特殊スーツを開発したのだという。
私の窮状を察知し、彼は私にスーツを届けに来たのだ。
スーツを受け取った私は、遠くにある生き残った地球人たちが作っているコロニーに逃亡することを決める。
私はすぐに実行した。
スーツの効果は凄まじい。私は八角人の間をすりぬけ、コロニーに向かうモノレールの駅にまでたどり着くことが出来た。
その駅からは地球人たちの自治区でもあり、もう八角人の姿はない。
私はモノレールに乗り込んだ。
その瞬間、人々が悲鳴をあげた。
私を見て恐れている。
一体なんだ?
電車の窓に映った自分の姿を見る。
そこには、奇妙な全身黒タイツの八角人の姿が映っていた。
以上が夢の顛末である。
私は昔から夢見が激しく、夢には色もついているし音も聴こえる。
今日は起きた後とても疲れていた。
一体この夢は何を意味しているのだろう・・・?
今日の夢を見て
中学生の時個人的についていた英語の先生にされた話を思い出した。
とても霊感が強い、というその先生
時々、人間と同じ形をしているけど明らかに人間ではない、でも幽霊でもない
そういう人を街中で見る。
と、言っていた。
八角人は、知らないうちにもう地球に潜んでいるのかもしれない。